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祈りをこめて

立春過ぎて、まだまだ寒いですが日差しが暖かくなってきましたね。

いつの間にか季節は過ぎていきます。

 

今年も鉄火味噌作りの会をすることにしました。(イベント詳細はこちら→

鉄火味噌を教えてくれたのは、冨貴工房の冨田貴文さん。

2年前のクリスマスに冨貴工房で教えてもらったのでした。

 

私自身、人の身体にかかわる仕事をしていたのに、仕事を辞めてから本当に身体を見れていたのかと疑問に思ったり、自分もいろいろとトラブルを抱えていました。いろんなことを試したり辞めたりして、何がよかったかわからないけど、ずいぶん健康になってこの店をはじめることができました。(でも、スモールは健康食品の店、ではありませんのでご注意を~)

 

この2年前の冬は、忘れられない冬。

10年以上闘病生活をしていた父が、いよいよ病気のコントロールがきかない状態になっていました。

また、きつい治療をするしか手がない、でも治療するだけの体力は明らかにない状態でした。

お医者さんも、積極的に治療しようとは言わなかったのに、本人は「1%でも可能性があるならやってみたい。」「わし、アホやからしんどかったこともう忘れてるねん。」と言っていました。「お前が決めてくれてもええで。」とも言われました。

私は、もうしんどそうな姿を見るのは嫌だと思ったけど、何度も危ないところを渡ってきたので、もしかすると大丈夫なのかも・・とも思ったり、でも客観的に考えてもう限界まで来ているなと腹をくくりました。(くくれてなかったと思うけど)

 

何か彼にしてあげたいけど、何をしたらいいかわからない。

そんな時に鉄火味噌を教えてもらいました。祈るような気持ちでお正月休みにたくさん鉄火味噌を作って実家へ持っていきました。

 

冨田さんの鉄火味噌の会は、福島第一原発で今も働いている作業員の方へ、作った味噌の一部を送るというものでした。

今でも何千人もの人が復旧作業にあたっていると。

放射能という極陰性のものが蓄積した身体を、鉄火味噌は陽性にする働きがあります。

福島の事故の責任を国の責任者も、その人たちを選んだ国民もとってはいないのに、何の罪もない人たちが今日も福島第一原発で働いて被ばくしている。そういう現実を私たちは見ずに暮らしている。

 

自分に何ができるかわからない。きっと何もできない。

そこから、できることを探す。

そんな時があります。

祈りをこめて。

 

2年前の冬に喜んで鉄火味噌を食べていた父は、その後半年穏やかに暮らして夏に亡くなりました。

何かできたとは思えないけど、これでよかった、とは思っています。

 

ごぼう、れんこん、にんじんを砂粒くらいまで細かく刻んで、豆味噌とじっくり火を通しながら炒めます。

根気がいるけど、できたものは間違いなくおいしいです~